2次元物質と

そのファンデルワールス

ヘテロ構造の物性と機能開拓

プロジェクトの目指すところ

 炭素の1原子層平面「グラフェン」の発見を契機に始まった2次元物質の研究は、カルコゲナイドを中心とした多様な物質に拡大し、現在では物性物理学・材料科学分野において世界的に非常に大きな勢力を形成するようになっています。バルク結晶を究極まで薄くした2次元物質は、バルクとは大きく異なる物性を有していることが明らかになってきています。近年では、様々な2次元物質を何層にも積層することが可能になっています。それは、これら2次元物質の各層の化学結合が閉じていることから可能になるもので、ファンデルワールスヘテロ接合超格子と呼ばれ、これまでの共有結合を基本としたヘテロ接合の概念を破る可能性を秘めています。

 日本・中国・韓国を中心とするアジア各国では、このような新しい2次元物質、ファンデルワールス超格子の分野の研究が盛んに行われており、アジアの各国で持ち回りの国際会議を開催するとともに、それらを組織する多くの優秀な若手人材が世界をリードする立場に立っています。本研究交流プロジェクトの目的は、2次元物質科学分野において、日中韓両国の若手研究者間の組織的交流を促進し、共同研究により新しい学理を創出するとともに、3カ国を中核とした世界トップ研究拠点の構築することです。具体的には、下記の事業を推進します。

①国際連携研究の加速・拡大
②研究セミナーの定例開催と国際会議の支援
③若手研究者の海外派遣

 これらの事業によって、アジアのコミュニティーの間での交流の機会を増やし国際共同研究を活性化させてゆきます。これらを通して、若手研究者の中長期的な人材育成に、この日中韓のネットワークを積極的に活用したいと考えております。

日本側代表者 東京大学 教授 岩佐 義宏
中国側代表者 南京大学 教授 YUAN Hongtao
韓国側代表者 西江大学 教授 CHEONG Hyeonsik