研究内容

 2次元物質は、2次元電子系として前世紀から研究が行われてきましたが、この時は、対象物質がシリコンのMOS-FETや半導体ヘテロ構造などに限られており、高いデバイス作製技術が必須の研究対象でした。今世紀に入ってこの状況は一変し、機械的剥離法やCVD、MBEなどの作製手法の劇的な発展により、本当に原子レベルで薄い、多様な2次元物質が研究対象になっています。最初の例は、2004年に発見されたグラフェンですが、2010年以降、ファンデルワールス結合により形成される層状構造物質から、遷移金属ダイカルコゲナイドを始めとる様々な2次元物質が発見されています。本研究は、そのような2次元物質や、それらの積層によって得られるファンデルワールスヘテロ接合を対象とします。このような2次元物質や人工ヘテロ構造の有する、バルク物質では得られない新しい構造、電子状態、物性、機能を明らかにするとともに、新たな電子・光デバイスを作製します。

 様々な2次元物質の研究の側面のうち、本プロジェクトでは特に以下の4つの、物理的な側面とそのデバイス展開に注目します。

  1. (1) 2次元物質とファンデルワールスヘテロ接合の作製と評価
  2. (2) スピン構造と量子輸送現象
  3. (3) 励起子物理と非線形フォトニクス機能デバイス
  4. (4) 機能デバイス

2D materials and Heterostructures

図1 2次元物資に関するA3プロジェクトの研究トピックス